カウンセリング

【カール・ロジャーズ】カウンセリングの3条件の体験的理解

今回の記事はカウンセリングの神様、カール・ロジャーズが提唱した来談者中心療法における、カウンセリングの中核3条件についての私の体験的な理解を書いていきたいと思います。

非常に有名なロジャーズの3条件ですが、実践レベルではこの3条件はどのように活かされているのでしょうか。私の18年以上にわたるカウンセリング学習のひとつのまとめとして書いていきたいと思います。

カール・ロジャーズのカウンセリングの3条件って?

カール・ロジャーズは、カウンセリングにおいて、クライエントのパーソナリティが変化するために必要にして十分なカウンセラーの態度条件というものを提唱しました。

①カウンセラーの一致性(純粋性)

②無条件の肯定的関心

③感情移入的理解

この3つがその中核条件です。1つずつ簡単に説明していきます。

カール・ロジャーズのカウンセリングの3条件①カウンセラーの一致性

カウンセラーがクライエントの前で自分を偽らず、真実であるということです。

カウンセラーのこの態度は、クライエントにそのまま投影され、クライエントがそれまで意識の上では拒否していた自分自身の体験を、自分の一部として認められるようになることを助けます。

このカウンセラーの一致性は3つの中核条件の中で一番大事なものとされています。つまり、これから紹介する、残り2つの態度条件が、カウンセラーにとって偽りではなく、真実でなくてはならないということが前提であるということです。

カール・ロジャーズのカウンセリングの3条件②無条件の肯定的関心

無条件の肯定的関心は、カウンセラーの哲学的側面が強く出る態度です。

カウンセラーはクライエントをひとりの人間として尊敬している。

クライエントは自分で自分の責任を果たしたがっていて、その責任を誰かに明け渡す気などない人間であると理解している。

そしてカウンセラーはクライエントをひとりの人間として好きである、等々、いろいろな言葉で表現されます。

そしてその態度は上述の通り、カウンセラーにとって偽りのない真実でなくてはならないということです。

カール・ロジャーズのカウンセリングの3条件③感情移入的理解

感情移入的理解はカウンセリングの技術的側面が前面に出た態度です。

カウンセリングは、クライエントの外部的照合枠からの理解、評価、指導をするのではなく、クライエントの内部的照合枠を理解し、それをクライエントに丁寧に伝えていくということです。

カウンセラーが外部照合枠でクライエントをとらえるということは、カウンセラーから見た、カウンセラーにとって感じられるクライエント、つまり、カウンセラーの世界におけるクライエント(カウンセラー目線のクライエント)を中心にして関わるということです。

カウンセラーが内部的照合枠でクライエントをとらえるということは、クライエントに見えているクライエント自身、クライエントの意識できているクライエント自身を理解しようとすることです。それはつまり、クライエントの世界におけるクライエント(クライエント目線のクライエント)を中心にして関わるということです。

カール・ロジャーズのカウンセリングの3条件 来談者中心療法の技術とは?

来談者中心療法の技術とは、この3つの態度条件を正確にクライエントに伝えるための技術であると言われています。

カウンセラーが一生懸命これらの態度を保持していたとしても、それがクライエント側に伝わっていなければ意味がないということですね。

悪い例

クロダ
クロダ
私は自己一致しています。あなたの前で絶対嘘をつきません。
感情探偵
感情探偵
本当かな?そう言っているだけじゃないのかな?

良い例

クロダ
クロダ
私はできるだけあなたの前で正直でありたいと思うのです。ただ、残念なことに、知らず知らずのうちに嘘をついてしまうこともあるかもしれません。
感情探偵
感情探偵
この人、多分、本当のこと言っているな…。

カール・ロジャーズのカウンセリングの3条件の実践的理解

無条件の肯定的関心の実践的理解

3条件の中で一番厄介なのは、この無条件の肯定的関心です。

はたして私の力で、真実の意味で無条件に、どんな人間にも肯定的関心をもてるものでしょうか。

私の現時点での経験的理解を言うならば、それは不可能です。

この無条件の肯定的関心がカウンセラーの真実になるためには、強烈な哲学が必要です。

私という枠が、相手という枠をとらえるとき、そこにはどうしても私的な評価、比較、価値観が介在します。さらに、ある程度健全な心というものは時により、場所により、コロコロとその形を変えます。

つまり、私はクライエントに対し、好意をもつことも、退屈を感じることも、敵意をもつことだってあるということです。

何年カウンセリングの修行を積もうが、私から、そのような心の動きがなくなることは決してない。私はそう言いきれます

私の力では、クライエントに対し、無条件の積極的な関心を維持できない

こう言い切れないと、私は自己一致できません。こう言い切れないところで無条件の肯定的関心を検討しても意味がないということです。

じゃあ、どうすればいいの?

真実の無条件の肯定的関心には自分の力を超えた思想が必要だということです。

人間ひとりひとりにかけられた願い。それは私個人の願いなどではなく、もっと大きな願いです。

私の心が何を思おうが、この人をどう評価しようが、この人は大いなる願いにすでに包まれていて、救われるためのはたらきにはこばれている。そう信じられるかどうかです。

宇宙のはたらき。膨張、拡大、成長への方向性。その事実を人間というちっぽけな枠を超えたところで信じられるかどうか

真実の無条件の肯定的関心とは、人間という枠に留まらない宇宙のはたらきへの関心と尊敬そのものです。

私の心がどう思うかに関係なしに、この人は救われていく人であると信じられる。そこに真実を感じられるかどうかです。

感情探偵
感情探偵
無条件の肯定的関心ってなんですか?
クロダ
クロダ
宇宙はのすごさを手放しで信じられるってことさ。
感情探偵
感情探偵
そんなに簡単に信じきれるものなんですか?
クロダ
クロダ
いやいや。疑いながら、少しずつ少しずつ、信じられるようになりたいって感じかな。

感情移入的理解の実践的理解

感情移入的理解をこれまでの私のカウンセリング学習のプロセスで培ってきた実践的な言葉で表現するなら、

カウンセラーはクライエントの言葉のすがたに聞かせていただく。

というすがたになります。

前提として、カウンセラーが感情移入する対象は、カウンセラー自身の過去の経験ではなく、今ここのクライエントの内的世界です。

クライエントの内的世界を一番色濃く反映しているのは、クライエントが声にした言葉のすがたです。

言葉のすがたって?

言葉にはすがた意味があり、それらを分けて考えられるようになることはとても大事なことです。

たとえばリンゴという言葉をひとつとってみても、赤くて丸くて甘酸っぱい果実という一般的な意味があるのはもちろんですが、

「リ」「ン」「ゴ」という言葉のすがたには、それぞれの人間ごとの別々の人生が宿っているのです。

リンゴという言葉のすがたを相手から聞いて、すぐに自分のとらえかたのリンゴで理解するのではなく、リンゴという言葉のすがたに宿されている相手の人生を聞かせていただけるかどうかです。

クロダ
クロダ
言葉のすがたに宿されている意味は人によって違うから、まずはすがたでとらえ、そのすがたから、その人の人生を聞かせてもらうのが大事なんだね。

クライエントの内面的世界を色濃く表しているのはクライエントの声にした言葉のすがたです。ですから、カウンセラーが感情移入する対象の一番優先順位が高いものは、クライエントの言葉のすがたということになります。

カウンセラーに見えているクライエントの態度や表情も大事な情報ですが、クライエントの態度や表情はクライエント自身には見えていません。その辺りの区別はクライエントの内的世界の理解にとって重要なところです。

感情探偵
感情探偵
カウンセラーに見えている感じているところと、クライエントに見えている感じているところを徹底的に分けるところから感情移入的理解は始まるんだよ。

感情移入的理解の実践ー言葉は語る

感情移入的理解についてもうひとつ加えておくと、言葉は語るという体験理解があります。

たとえば、

今日楽しかった

と、

今日とても楽しかった

では、その言葉のすがたが語る世界は全然違いますね。そして、

苦しい日々

と、

苦しかった日々

でも言葉のすがたが語る世界は全然違いますよね。

このように、感情移入するということは、言葉のすがたが語る言葉を聞かせていただくということです。

相手の言っていない言葉のすがたに感情移入してしまうことが、どれだけ相手の内面の世界とズレてしまう可能性があるかということを理解しましょう。

カール・ロジャーズのカウンセリングの3条件 終わりに

いかがだったでしょうか。これがカール・ロジャーズの提唱したカウンセリングに必要にして十分な態度の3条件であり、黒田明彦の体験的理解です。

大事なのはこれらの理解がカウンセラーにとって体験的に真実であることです。

頭で理解しただけでは、自己一致のもとに実践できないということですね。

私は、カウンセラーがこれらの態度を純粋に身につけるには、これらの条件をある程度満たすカウンセラーに実際に聞いてもらう体験がどうしても必要だと考えています。

体験的に、それが効果的で、合理的で、そして人間が本当に欲するものであると実感できてこそ、苦しい訓練の末に、その態度を身につけていくことができるのです。

世にいるカウンセラーの学習をしている人のどれほどの人がその態度を実際に体験してきているでしょうか。

真実の体験学習ができる場は、現代にもしっかり存在しています。

この記事を読んだ方が、本当に自分が望むものに出会えていけることを心より願っています。

カウンセラー 黒田明彦

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