カウンセリング

カウンセリングの学び【オウム返し】相手の言葉を繰り返すということ

今回の記事はある程度、来談者中心療法のカウンセリングを体験的に学んだ人、中級、上級者向けの内容を含む記事です。

体験的な学びの蓄積がなければなかなか了解しにくい部分もあるかと思いますが、何卒ご了承ください。

また、質問などございましたら、どうぞ遠慮なく下記の問い合わせフォームよりお問い合わせください。

オウム返しについての考え方

同じ来談者中心療法のカウンセラーでも、カウンセリング、積極的傾聴の型は、学んでいる団体や先生によって大分バラつきがあるのではないでしょうか。

私が18年以上学んできたカウンセリングは、このオウム返しと称されがちな型でのやりとりが、実に全体のやりとりの8割から9割を占めます

これは、オウム返しと称されがちな型に、ロジャーズの言うカウンセラーの3条件、一致性、無条件の肯定的関心、感情移入的理解のエッセンスが合理的に含まれているからです。

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オウム返しとカウンセラーの3条件

オウム返しという表現が一般的にはわかりやすいと思うので、この記事ではこの表現を使っていますが、実際にカウンセリングの学習の場ではオウム返しという言葉は使いません。

相手の言葉のすがたをたどる、受け取る、または、相手に言葉のすがたを届けるというような表現を使います。

この、相手に言葉のすがたを届けるという取り組みの最大のミソは、相手に聞かせていただいた言葉のすがたのままに、言葉のすがたを届けるということです。

相手が語った言葉のすがたに、似たものを届ければ良いのではありません。

相手が語った言葉のすがたのままに、届けるのです。

これができるかどうかは、カウンセラーがいかに相手が語った言葉のすがたのままに、聞けているかというところにかかっており、悔しい思いをしながら何度も何度も訓練を続けなければできるようにはならないところです。

日常は、実に多くの人が、相手が語った言葉のすがたと、自分が聞き取った言葉のすがたが、全くもってズレてしまっていることが自覚できないままにコミュニケーションをしているのです。

さて、それでは、相手に聞かせていただいたそのままの言葉のすがたを届けることが、なぜ、ロジャーズの言う、カウンセラーの3条件のエッセンスを合理的に含んでいるかを説明してみます。

オウム返しと、一致性との関係

ロジャーズの言うカウンセラーの3条件の中で一番大事とされているのがこの一致性です。

これは、カウンセラーが自らの感情に開かれており、自分の所持している感情を隠したり、否定することなく受け入れているという状態です。

カウンセラーが自分の感情に開かれ、隠さないということは、カウンセラー側のいろいろな感覚をそのまま相手に伝えることができるということです。

そして、カウンセラーが身体全体で見せている態度と、カウンセラーの発言の内容が一致しているということです。

来談者中心療法のカウンセリングは、その名の通り、来談者が中心のカウンセリングです。

カウンセラーは自分の人生経験に基づいた意見や感想、価値観を来談者に伝え、教えることを控え、傾聴に徹し、来談者の自己理解をいかに促進し、助けるかということが基本命題です。

しかし、カウンセラーは、嘘無く、純粋に、どんなクライエントの発言、態度に対しても自分の意見、感想、価値観を持たないですむものでしょうか?

ある程度の純粋性をお持ちの方ならわかっていただけると思いますが、これは基本的には不可能です。

訓練を受けていないカウンセラーが、相手の言葉を聞き流しているときは、ほぼ間違いなく、相手の言葉を聞いて触発された、カウンセラー自身の過去の経験に基づいた、自分の意見、感想、価値観からのアイデアが浮かんでしまいます

これは、嘘無く、純粋なところでは、ほぼ避けようがない、非常に自然な身体の動きだと思います。

そして、純粋性を保たなくてはならないカウンセラーは、そのカウンセラー自身の過去の経験に基づいた、自分の意見、感想、価値観からのアイデアを相手伝えなくてはなりません

クロダ
クロダ
思いついてしまったアイデアを保持し続けていると、どんどん苦しくなって、相手の前に落ち着いて座っていられなくなってしまうからね。

これはとらえようによっては、日常よくある、親切なコミュニケーションに思えるかもしれませんが、カウンセリング的には、相手の語りの著しい邪魔になります。

相手の言葉を聞いて触発された、カウンセラー自身の過去の経験に基づいた、自分の意見、感想、価値観からのアイデアを伝えることは、今ここの相手の語りの邪魔になる。

この、相手の言葉を聞いて触発された、カウンセラー自身の過去の経験に基づいた、自分の意見、感想、価値観からのアイデアが浮かばないようにするための、ほとんど唯一の方法が、相手言葉のすがたを聞こえたままに必死に相手に届けるという行為なのです。

やってみるとわかりますが、相手の語った言葉のすがたのままに相手に届けるという行為は、本当に集中していないとできません。

言葉の意味を考える暇などなく、ただ言葉のすがただけをとらえて、すぐに声にしていかないと、自由に語る相手に、どんどん置いていかれてしまいます。

相手の語る言葉のすがただけをただ、とらえて、すぐに応答していくこと。

これこそが、カウンセラーが一致した状態でかつ、真に来談者中心のカウンセリングになるためにどうしても必要なプロセスなのです。

オウム返しと、無条件の肯定的関心との関係

ロジャーズの言う、カウンセラーの3条件の中で一番厄介なのが、この無条件の肯定的関心であると私は思っています。

しかし、この無条件の肯定的関心も、相手に言葉のすがたを届けるという行為にそのエッセンスが含まれています。

カウンセラーの価値観をはさまず、カウンセラーの言葉を混ぜ込まずに、とにかくそのままに相手の言葉のすがたを聞かせていただいて、それを声に出し、相手に届けさせてもらうこと。

これは、まさに相手を無条件に肯定する、非常に具体的な所作なのです。

そのままの言葉のすがたを聞いてもらえることが、無条件の肯定になるということは、実際に体験をしてみればわかります。

語った言葉のすがたを誰かに、そのままのすがたで聞いてもらえるということは、とてつもなく嬉しいのです。

それだけで、私を受け止めてもらえた、私を肯定してもらえた、と思考を超えているところで体感できるのです。

感情探偵
感情探偵
なんだかよくわかんないけど、すごく嬉しくなるんだよ。とても不思議な感覚だね。
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オウム返しと、感情移入的理解の関係

ロジャーズの言う、カウンセラーの3条件の中で、一番興味深く、可能性に満ちているのが、この感情移入的理解です。

この感情移入的理解も、相手に言葉のすがたを届けるという行為に、そのエッセンスが含まれています。

感情移入的理解とは、相手の語る言葉のすがたから、あたかも相手の感情を自分が感じているかのように理解するということです。

ここでのポイントは、一致性のところで述べた通り、相手の言葉を聞いて触発され、思い出された、カウンセラー自身の過去に感情移入するということではない、ということです。

感情移入するのは、あくまで今ここの相手の感情、そして、身体のはたらきです。

今ここの相手の感情、そして身体のはたらきに感情移入する術は、今ここの相手が声にした、または仕草で見せてくれている言葉のすがたに感情移入するしかないのです。

クロダ
クロダ
聞こえたままに声にすることができないということは、聞こえていないということと同じなんだよ。

それはつまり、しっかりと今ここで、相手が語った言葉のすがたのまま、声にすることができないのであれば、今ここの相手に感情移入することもまた、できないということです。

①私はリンゴが好きです。

②私はリンゴがとても好きです。

感情探偵
感情探偵
この2つの文章から感じられるものは、同じではないよね。さて、大事なのは相手が言ったのは、①、②、どっちの言葉のすがただったかな?ってことだね。

カウンセリングの学び【オウム返し】おわりに

いかがだったでしょうか。

今回の記事は私が学んできた来談者中心療法の、核となる所作である、オウム返し(相手に言葉を届ける)について書いてみました。

これらは、できるだけわかりやすく書いたつもりですが、わかるということと、できるようになることは全く別です。

やってみて、身につかないとできるようにはならないのです。

それがカウンセリング学習の面白いところであり、奥深いところであります。

今後もカウンセリングの所作については記事を増やしていこうと思いますので、興味のある方はまた読んでみてください。

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それでは、またお会いしましょう。

カウンセラー 黒田明彦

 

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