3秒で消える世界

嘘と誠【3秒で消える世界第4話】

忘れてしまうという痛み【3秒で消える世界第3話】https://kanjoutantei.com/%e8%aa%8d%e7%9f%a5%e7%97%87%e3%81%ae%e7%88%...

 

「ご飯多く、よそりすぎだって言ってるだろ」

「また、ご飯炊きすぎたのか」

「同じおかずばっかりだな」

「味噌汁しょっぱい」

「電子レンジの電源切れって何度も言ってるだろ」

 

父が母を責めます。

何度も何度も強い口調で吐き捨てます。

なんとも優しくない言葉です。

我が家のいつもの食宅。

 

母は母で父に何度同じことを言われても行動を変えません。

そして、言われたらそれなりに言い返します。

子供じみた言い訳のときもあれば、ただ一人言に近いときもあります。

やり取りとして成立しないことも多いです。

 

毎日、毎食、繰り返されるやりとり。

繰り返される憂鬱なホームドラマ。

どちらも相手の発言によって行動が変わりません。

 

私はいつもその場面を見送っています。

どちらかをフォローすれば、どちらかを責めてしまうような感じになってしまうような気がして。

参加したら、余計に二人の声が大きくなってしまうような気がして。

私も結局、責めるような口調になってしまうような気がして。

 

私はただ静かにご飯を食べています。

父と母のコミュニケーションはこの食卓がメインです。

他にほとんど会話はありません。

それが当たり前。

もう何十年もそんなやりとりが続いてきている。

これが日常。

父の世界は3秒で消えてしまいますが、このやりとりは何十年も消えません。

 

私は、今のままでいいとは思っていません。

私は、密かにこの家を元気にしたいと思っています。

少しでも、ゆっくりとでも。

 

この責め合いが当たり前になっている家が。

自分ではなく、相手を変えようとするのが当たり前になっているこの家が。

これからどう変わっていくんだろう。

私のはたらきかけでどれほどステキになってくれるだろう。

そんな夢を見ています。

 

私にはこの家が今よりもステキになるために、具体的に2つの作戦を考えています。

私は、小さく、少しずつ実践しています。

 

1つは、私にとって慣れ親しんだ方法。

もう1つは、私にとってまだまだ違和感のある新しい方法。

この2つの方法ならば、この家が変わっていく、新しいイメージが持続できます。

優しくて、柔らかいエネルギーを私は感じられます。

 

1つ目の方法は、出来る範囲で相手の言葉の相(すがた)をとらえて声にすること。

父は基本的に口数が少ないし、母は一人言が多いから結構難しいのですが、勇気をもって相手に聞かせてもらった言葉を私の声にして伝えます。

その時大事なのは伝えるという明確な意志。

こちらも一人言みたいになってしまわないように、ちゃんと、相手に届くように、相手に聞かせてもらった言葉を声にすることです。

大丈夫。

ちゃんと響いている。

私は信じられる。

私のこれまでのカウンセリング学習人生を。

 

2つ目の方法は、まだ新しく、私にとって馴染みの薄い方法。

それは、意識してポジティブな言葉を声にして相手に伝えるということ。

「ありがとう。」

「美味しかったよ。」

「助かったよ。」

「嬉しいよ。」

「すごいね。」

「楽しいね。」

「良かったね。」

私が本当にそう感じたかどうかは2の次なんです。

大事なのは、私が本当にそういうポジティブな言葉を声にして相手に伝えて、相手を元気にしたがっているということ。

そこは間違いなく真実なのです。

私は、この家でポジティブな言葉を声にして、明るく、元気にしたいんです。

少しずつだけど、それは出来ると思っています。

優しい言葉が少しずつでも、着実に声になり続ければ、そこにいる人間は勝手に変わります。

今日も、母が炊いたご飯は、私には柔らかめでした。

私はもっとご飯が硬めのほうが美味しいと感じます。

正直あまり美味しくなかった。

だけど「ごちそうさま、美味しかったよ。」と声にしました。

声にしていて、自分で強い違和感を感じました。

震えるほどです。

だけど、それでいいんです。

母のリアクションは小さかったですが、確実に鼓動を感じました。

響いています。

そう信じられます。

優しい言葉は、私に良いイマジネーションを与えます。

 

さて、父にはどんな優しい言葉をかけられるだろう。

優しい言葉をかけられるチャンスを探します。

きっとこれから、もっと、優しい言葉をかけるのが上手になっていきます。

優しい言葉をかけたい。

なんだか懐かしい感じの私です。

 

この前の食事のあと、母とのやりとりのなかで、私に小さく聞こえた言葉があります。

「あきちゃんはいい子だね。」

それは実際に母の声だったでしょうか、それとも私の記憶の中の声だったのでしょうか。

小さな頃、母によく聞かせてもらった言葉のような気がします。

それが、かすかに聞こえた気がしました。

私が、小さな頃、母が大好きだったころ、笑顔の母から何度も聞いた言葉のような気がします。

とても懐かしい感じがしました。

 

つづく

 

学習者 黒田明彦

 

 

 

 

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