HSPとは、非常に敏感な気質をもった人の事であり、近年多くの人に認知されてきています。
その特徴は、深い情報処理能力、刺激に対する異常な敏感さ、共感力の高さ、少ない情報で状況を理解できる察しの良さなどです。
HSPは5人に1人の割合で存在する気質だと言われています。
このHSPの気質は遺伝するのでしょうか?
そして、HSPの子供はいるのか?
今回はその辺りについて書いてみようと思います。
HSPは遺伝するのか?

結論から言うと、HSPは生まれつきの気質ですので、遺伝の要因が大きいそうです。
HSPの気質を持つ人は、もともと、人間の安心感を生むセロトニンというホルモンをうまいこと稼働させてくれる遺伝子(セロトニントランスポーター)の、少ないパターンの組み合わせをもっており、さらにそれが突然変異しているそうです。
HSPの気質に影響を与える遺伝子は、他にもあるらしいですが、単純に、生まれつき安心を増やしてくれるホルモンが他の人よりうまく回ってくれない気質を持っているということは間違いなさそうです。
遺伝子的に安心しにくい人、不安になりやすい人と、大雑把に言えてしまうということですね。
ただ、不安になりやすいということは、危機を回避する能力が高いということなので、HSPは種の保存に大事な役割をもっていると言われています。
日本人はもともと不安になりやすい遺伝子の人が多い

HSPの割合は、大体5人に1人と言われています。
HSPの持っている遺伝子は、セロトニンを上手いこと稼働させられない遺伝子の組み合わせが突然変異したものであると言われています。
ただ、このセロトニンを上手いこと稼働させられない遺伝子の組み合わせを持った人は、日本人は、アメリカ人の2.5倍いるそうです。
日本人は基本的に安心感を得ることが難しい人種であるということですね。
日本人の幸福度が低いのは、遺伝子レベルの原因がありそうでなんか残念です。
敏感さ、繊細さが後天的に身につくこともある

上記の通り、HSPは遺伝の要因がかなり大きいということがわかっていますが、遺伝的、気質的な問題でなくても、育った環境や、親との関係によって過剰に敏感、繊細になっていってしまう可能性はあります。
親や、周りの大人の顔色をうかがっていないと自分の安心が確保できないような環境で育った場合は、生きるために過剰に敏感さ、繊細さを獲得してしまうことがある、ということです。
日本人の不安になりやすさも後押しして、本来HSPの気質ではないにもかかわらず、それにとても似てしまうような状態になっている人はいるようです。
非常に敏感で繊細な子供、HSC

HSPが遺伝要素が大きいと言うことは、HSPの特徴をもった子供もいると言うことが考えられますよね。
HSPの特徴を持った子供はそのまま、HSC( Highly Sensitive Child)と呼ばれています。
HSCの特徴
HSCには、HSPの4つの特徴がそのまま当てはまります。
- 子供とは思えないような鋭い質問をしたり、大人びたことを言ったりする。思慮深く、行動を起こすまでに時間がかかる。
- 感受性が強く、刺激に対する反応が大きい。よく泣いたり、ビックリしやすい。
- 共感力が強く、他人に起こっている出来事も自分に起こっているように感じてしまう。
- 他の子供や、大人が気づかない些細な刺激をとらえることができる。目に見えないものに反応しているときもある。
非常に繊細な子供

自分の子供時代のことを思い出せば、自分がそうだったなと思う事もあれば、そういう友達がいたなと思いあたるところがあるかもしれません。
非常に音や匂いに敏感だったり、服のタグのチクチクが気になって、全部外していたり、新しい環境にとても弱かったり。
HSCの子どもたちは、その敏感さゆえに、現代社会で生きづらさを抱えることが多いと言われています。
親としてはHSCの特徴を学んで、子供に適切に関わっていくことで、子供の安心感をしっかりと育てていきたいですよね。
HSCと学校

HSCの特徴を理解して、家庭内で大事に育ててあげることができても、家庭以外の環境で子供が辛い思いをしてしまうことあります。
子供にとって家庭よりも長い時間過ごすことになる場所は、学校です。
HSCの子供は、その特性上、集団生活で他の人よりも疲れを感じやすいです。
安心するためのホルモンが活発ではありませんので、不安を感じ、つらい経験をすることも多いでしょう。
家庭でのリラックスは大事

学校で擦り切れるように疲れてしまう子供にとって、自分の家でリラックスできる時間は、大事な時間です。
1日頑張った子供に対し、できるだけ暖かい言葉をかけてあげてください。
大事なのは、子供がそのような状態になってしまう理由があることをわかってあげることです。
HSCの子供は、子供ながらに他人と自分を比べて、落ち込んでいるかもしれません。
できるだけ意識的に肯定的な言葉をかけてあげたいですよね。
また、疲れたときは、遠慮せずにしっかり休むこと、無理して友達に合わせなくてよい、などというHSCの特性に合わせた、具体的なアドバイスをしてあげられるといいかもしれません。
とにかく、家庭では本人がとてもリラックスできるような環境を整えてあげたいですね。
学校に行きたがらないときはどうする?

子供なりに頑張って学校に適応しようとして頑張った結果、疲労が蓄積したり、どうしても嫌なことがあったりすると、学校に行きたがらないこともあると思います。
HSCの子供は、親に心配をかけないようにと頑張ります。
学校に行きたがらないということは、その頑張った末に出てしまっている反応であると理解してあげてください。
そして、そこからさらに頑張らせようとするのではなく、しっかり休ませてあげてください。
HSCの子供は、親の期待に背いてしまったなどと、鋭い罪悪感を持つこともありますので、できるだけ子供を安心させてあげられるような言葉がかけられると良いですね。
たとえ不登校が続いてしまっても

たとえ、学校に行けない日々が続いてしまったとしても、無理に学校に行かせようとするのではなく、今のその子には何が必要なのかを真剣に考えてあげてください。
親としては、子供が学校に行かないことはとても不安でしょうが、学校に行けない状態の子供自身はもっと不安なのです。
親が常識から解放されていくこと
普通は学校に行くべき、学校に行くのが無難、学校は行かなくてはならないところ。
このような常識的思考から親自身が自由になることが大事だと思います。
HSCの子供は、その他の人にはない才能を発揮するポテンシャルがあります。
人と同じことができるかどうかの視点ではなく、この子にできることは何かという視点で見てあげてください。
昔と比べて今の時代は多様性の時代になってきます。
学校に対する価値観も少しずつ変わってきています。
大事なのは子供が当たり前のように学校に行くことではなく、いかにその子らしく健やかに育っていくかではないでしょうか。
敏感で、繊細な子供を前に、親自身がドッカリとその子の個性を支える覚悟を持った対応ができるようになったとき、きっとその子と共に元気な毎日をおくることができるようになるでしょう。
HSPは遺伝するのか?敏感で繊細な子供HSCの特徴や不登校についても まとめ

いかがだったでしょうか?
HSPはかなり遺伝の影響が大きいということがわかりましたね。
生まれつき、安心した気持ちをつくるホルモンがあまり活発にはたらかないなんて・・・。
心当たりがある私自身もげんなりです。
しかし、できるだけポジティブにとらえていきたいですよね。
HSPの特徴をもった、HSCという子供がいることも紹介してきました。
HSCがその特徴をポジティブに活かせる人生をおくれるかどうかは、周りの大人たちにかかっています。
ですが、できれば、子供のために犠牲になるという発想ではなく、子供と共に成長していくという発想でやっていきたいですね。
HSCの子供は、敏感に、親の苦労を感じ取ります。
それを自分のせいだと罪悪感をもってしまうこともあります。
どうせならお互い明るい気持ちでやっていきたいじゃないですか。
親自身も子供以外に自分の楽しみ、息抜き、コミュニティをもつなどして、良い気分を維持しながらやっていきましょう。
子供にとっては、親が元気であることが一番の安心なのですから。
冥王 黒田明彦でした
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