繊細で敏感な気質をもったHSPの人は、好きなことを仕事にすることができるのでしょうか?今回は看護師とカウンセラーがHSPの適職なのかと言うことも併せてご紹介します!
HSP4つの特徴

HSPの人は、DOESと呼ばれる、次の4つの性質を全て併せ持った人だと言われています。
英語表記 | 意味 |
---|---|
Depth of processing | 脳が情報をとにかく深く処理する |
Overstimulation | 感受性が強く、刺激に対しての反応が大きい |
Empathy and emotional responsiveness | 共感力が高い、他者との境界線が薄い |
Sensitivity to subtleties | 多くの人がスルーしてしまう、些細な刺激を感知する |
HSPの適職は?
HSPは非常に環境の影響を受けやすく、環境次第で本来の能力を発揮することが難しくなってしまうので、一人で集中できる職場環境が適しています。
大人数がごった返すような職場や、体育会系の職は、多くのHSPの人が合わずに、苦しい思いをしたという体験を語っています。
HSPの人に、適しているとよく言われるのがフリーランスの仕事ですね。
フリーランスとは、個人事業主、いわば社長です。
自分で自分の仕事の内容も環境も選んで、自分のペースで働いていくことができます。
HSPは好きなことを仕事にできる?

フリーランスであれば、環境も仕事も自分次第で構築していくことができます。ある意味好きなことを仕事にできると言えます。
創造力に溢れ、世の中のニーズを敏感に感知し、ビジネスセンスがある人なら、今の社会に新しい価値を提供できるような、素晴らしい仕事ができるかもしれません。
しかし、そうでないのなら、基本的には今の社会の中にある個人でやれる仕事の中から、自分で合っていそうな仕事、できそうな仕事を自由に選んで働かないとなりません。
フリーランスにはガッツが必要
自分で環境を選べることがフリーランスの強みですが、積極的に自分で自分の稼ぎを得ていかないとなりません。それには、たゆまぬガッツが必要になります。
環境的なストレスさえなければ、とにかくいろんなことをやってみたいと思えるような人には、フリーランスはぴったりかもしれませんね。
HSPにとって看護師は適職なのか

HSPの能力を活かすことのできる適職は他にないでしょうか?
たとえば、人の気持ちを察することが得意なHSPは看護師は適職となるでしょうか?
HSPが看護師をやるメリット
HSPの気質を持った人には看護師をやるにあたって、少なくとも3つのメリットがあります。
患者さんやその家族のニーズをとらえて、対応できる
HSPには、アーロン博士も言っている通り、人が何か不快な思いをしている時、どうすれば快適になるかすぐに気づくことが得意です。
患者さんは自分が感じている不快感を適切に表明し、改善を求められる人ばかりではありません。
痛み、痒み、ダルさなど不快な気持ちの患者さんの気持ちに寄り添い、どうすれば快適になるかをいち早く察知して、対応できるということは、患者さんにしてみれば、本当に心強いことです。
患者さんは、自分の希望や感覚を伝えることを遠慮していたり、伝えること自体がしんどいということもあります。
それにいち早く気づき、対応できるHSPの察し、感じ、気づく能力は、看護師の仕事でメリットになります。
遠慮しがちな家族の気持ちに寄り添えるのも心強いですね。
チームの調和を促進できる
看護師は、病院の中で、患者さん、家族、医師、他の職種の人と連携を取る大事な役割をもっています。
また、24時間たえまなく交代で患者さんの看護をする必要があるため、チームの連携は非常に大事になってきます。
チームの為に何が必要で、どうすれば上手くいくかを敏感に察知できるHSPは、チームに調和をもたらすことができます。
患者さんの微かな異変に気が付ける
看護師もベテランになってくると、日々患者さんの様子を見ながら、微妙で繊細な微かな違いを感じられるようになると言います。
なにがどうおかしいとかは、言えないけど、何かがおかしい。
そんな感覚があたって、その後に患者さんの容態が急変することもあるそうです。
HSPは、他の人がスルーしてしまうような些細な刺激を感じ取ることができますので、上手くいけば、ベテランになる前から患者さんの生命を救うような、気づきができるかもしれません。
HSPが看護師をやるデメリット
HSPが看護師をやる場合のデメリットも存在します。
これらのデメリットを考慮した上で適職と言えるかどうかの判断をしましょう。
仕事を覚えるまでがつらい
新人時代はどの仕事にもありますが、特にミスが許されない看護の世界では、新人時代は、常に先輩の視線を浴び続けます。
他人の目線があると、気になってしまって、HSPは本来の力が発揮できなかったり、疲れやすくなってしまったり、ミスが増えてしまうこともあります。
信頼されて、ある程度仕事を任されるようになるまでは、辛い日々が続くかもしれません。
2人一組の仕事がつらい
同じような理由で、二人一組での看護業務、パートナーシップナーシング(PNS)がつらいです。
現在は、二人一組で1日業務を行う病院が多いそうです。
HSPは常に相方の動向に影響を受け、相手によっては全く実力が発揮できなくなってしまうことがあります。
疲れていて機嫌が悪い人がパートナーになったり、いつも怒りっぽい先輩がパートナーになった日には・・・。
発揮できる能力は半減、疲れは倍増です。
患者さん、ご家族の苦しみに共感しすぎる
共感力が高いという気質をもつHSPは、患者さんやご家族の苦しみに、深く深く共感してしまいます。
多くの患者さんの様々な苦痛をまるで自分のことのように感じてしまいます。
多くの他人の苦しみに直面するということは、看護業務では避けられません。
うまく、割り切ることができなければ、自分自身が毎日毎日苦しい思いをするようになってしまいます。
単純にとても忙しい
病院にもよりますが、人が足りない病院だと、業務量が多く、負担がとても大きいです。
HSPはマルチタスク(複数の事を同時進行すること)が苦手な人が多いので、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃで、1日のスケジュールに圧倒されて、頭が爆発してしまう人もいるかもしれません。
病院ですから、突然の入院や、患者さんの急変もあります。
今なにやるんだっけ?とパニックになってしまうこともあるかもしれません。
夜勤などで、疲れがとれにくい
HSPはただでさえ疲れやすい気質の人です。
看護師という仕事は、病院の激務、そして夜勤などで生活リズムが乱れやすいので、疲れを取り、自分のコンディションを整えることが難しいです。
日勤と夜勤がつながってしまうようなこともありますので、看護師の交代勤務はHSPにとっては辛いものがあります。
HSPにとってカウンセラーは適職なのか

HSPは共感力が高い上、些細ない刺激を感じることができます。また情報を深く処理できることもあり、心理カウンセラーなどは向いているような気がしますが、実際はどうなのでしょうか。
HSPがカウンセラーをやるメリット
まずHSPの人がカウンセラーをやるメリット考えてみます。なんだか、合っているような気はしますよね。
HSPの高い共感力を生かすことが出来る
カウンセリングにもいろいろな型や流派があると思いますが、基本的にカウンセラーの態度は受容と共感が求められます。
相手の気持ちをそのまま受け止める。感じ取る。そのようなセンスですね。
HSPは高い共感力と、察する能力、そして、深く受け止める処理能力をもっているので、別に誰に教わらなくても、カウンセラーに必要な基本態度は備わっていると言えます。
もちろん、それらを体系的にしっかりと学ぶことは大切なのですが、カウンセリングに関して、教わらなくてもわかることは、多いのではないかと思います。
理解のある職場に当たる可能性がある
カウンセラーとして働くことになる職場は、心の関する専門家の集まりであることがあるので、HSPの気質というものをしっかりと理解してもらった上で働ける職場に当たることがあります。
他の職場ではなかなか理解してもらいにくい、自分の強みと弱みを理解してもらった上で働けるとしたら嬉しいですよね。
ただ、理解してもらえるからといって、いろいろオマケしてもらえるかと言ったら、それは別の話です。
心の専門家であるのだから、自分の気質を理解した上で、しっかりと役割をこなせるような立ち回りが求められるでしょう。
カウンセラーとしての学習が自分に活きる
HSPの気質を持つ人が、カウンセリングの学習を重ねていく上で、自分の気質や心と向き合うことも多くなり、また、専門的な知識を得ることにより、自分自身が成長していくことができます。
仕事に必要な学びを得ていく中で、自分自身の生きづらさも解消できたら素晴らしいですよね。
そして、その経験が、相談者に対しても活きることがあると思います。
心の仕事はなくならない
これはHSPとしてのメリットではありませんが、昨今、AIによって様々な仕事が奪われるのでは?という憶測が飛び交っていますが、カウンセリングなどの、心に寄り添う仕事は、なかなかAIでは難しいので、将来的になくなる仕事ではないと言えます。
科学が進むほどに人間の心の問題はクローズアップしていくのではないでしょうか。
HSPがカウンセラーをやるデメリット
さて、それではHSPがカウンセラーをやるデメリットはあるのでしょうか。このデメリットをしっかり考慮した上で、HSPにとってカウンセラーが適職であるかどうかを考えてみてください。
相談者の苦しみに共感しすぎてしまう
看護師の項でもありましたが、HSPは共感力が高いので、相談者の話を聞きながら、相談者の苦しみに共感しすぎてしまい、話を聞くのが辛くなってしまったり、相談者と会うのがつらくなってしまうことがあります。
共感力は、相手の気持ちに寄り添い、察し、受け止める原動力ですが、しっかりと相手の気持ちと自分の気持ちが区別できないと、話を聞いているだけで、どんどん気持ちが重くなってしまいます。
カウンセリングの知識だけではなく、しっかりとした人間哲学を学習していかないと、HSPの共感性にHSP自身が振り回されてしまって、相談者の悩みに寄り添うどころではなくなってしまいます。
相談者に対する役割を区切るのが苦手
HSPの気質は基本的に相手本位の人間関係を作ってしまいやすいです。
HSPの人は放っておくと、相手の為に過剰に頑張ってしまいがちなんですね。
心理カウンセラーは、対面のカウンセリングだけでなく、電話やメールでのカウンセリングを行う場合もあります。
カウンセリングの相談者は、様々な不安や悩みを抱えた人たちです。
不安が強い人の中には、いつもいつも、支えて欲しい、面倒をみてほしいと強い要望を持っている人もいます。
カウンセラーは自分の仕事の役割をしっかり区切らないと、どんどん相談者の強い不安に巻き込まれていってしまいます。
HSPはどんな理不尽な要求をされたとしても、他人を責めるのが苦手なので、自分を責めて、心を痛めがちです。
カウンセラーの仕事として、できることとできないことをしっかりと分けて伝えることはとても大事です。
しかし、HSPの人はそれをハッキリと伝えることがとても苦手な人が多いのではないでしょうか。
そもそもカウンセラーを職業にすることが大変
これはHSPだからということではないのですが、まず、カウンセラーとして働いていくための充分な資格を取る道がとても狭き門です。
世の中には沢山の民間カウンセリング資格がありますが、雇われカウンセラーとして充分な資格はほとんどありません。
臨床心理士、公認心理士以外の資格でカウンセラーとしてやっていく場合は、多くの場合、カウンセラーとして個人事業をやっていくことになるかと思います。
正直そうなると、カウンセラーのメイン業務は、カウンセラー業務ではなく、集客やブランディングであるという感じになっていきます。
良いカウンセリングが提供できるかどうかということ以上に、いかにカウンセリングを売っていくかということに頭を悩ませる毎日になります。
HSPは好きなことで働けるか?看護師は?カウンセラーは?まとめ

HSPの適職、好きなことを仕事にできるのか、看護師とカウンセラーについて書いてきました。
HSPの弱点、環境に左右されて、能力が発揮できないということを踏まえた上で、できるだけ、自分の能力を発揮できる仕事で食べていけるといいですね。
やっぱり、フリーランスという道は、どこかで意識しておいた方が良いような気はしますね。
フリーランス、ちょっと考えてみませんか?