今回は、「感情移入ギャップとは、その意味と対策・心構えも」ということで、感情移入ギャップについて書いていきます。
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、いわゆる心の動きとしては、あるあるな話です。
この感情移入ギャップを理解することで、自分の行動の予想を正確にすることができるようになるかもしれません。
是非読んでみてください。
感情移入ギャップってなに?

感情移入ギャップとは、カーネギー・メロン大学の心理学者、ジョージ・ローウェンシュタインが概念化した、心の作用です。
人の心は、興奮している状態のときは、冷静な状態の自分を予測するのが難しく、冷静な状態のときは、興奮している状態が予測しにくいという作用の事です。
つまり、ここでいう感情移入の対象とは、未来の自分ということですね。
人の心が興奮状態のとき、危機的状態のとき、渇望状態のときをホットとする。
人の心が落ち着いているとき、安全安心の時、満たされているときをコールドとする。
このように人の心を分けて考えます。
ホットとコールド。
わかりやすいですよね。
感情移入ギャップのツボ

この感情移入ギャップのツボは、人の心がホットのときはコールドの状態の心を予測しづらく、人の心がコールドの状態のときは、ホットの状態の心を予測しづらいということを、多くの人間は、甘く見てしまうということです。
「そりゃ、頭に血が昇っている時、不安になっているときは、冷静な判断が出来ないのは当たり前でしょ?」
誰しも想像できますよね。
しかし、それを当然としながらも、コールドのときに、ホット状態の自分にとって、無謀な計画を立ててしまったり、ホットのときに、コールド状態の自分にとって不必要な行動を重ねてしまったり、不利益な失敗を繰り返してしまいます。
わかっちゃいるけど、やめられないというやつですね。
ここのギャップの大きさを克服することは、相当に難しいということと、向き合おうというのが、感情移入ギャップのツボなんですね。
感情移入ギャップの簡単な例

- 満腹状態、腹加減がそれなりに満たされている状態で、ダイエットの計画を綿密に立てる。
- 最初は上手くいくが、徐々に過度の空腹状態に突入する。
- そうしたら途端に、満腹状態に立てた計画通りに行動ができなくなる。
- ダイエットに失敗し、さらにリバウンドしてしまう。
「計画通りにやれば、成功するはずだったのに。」
これが、コールド状態→ホット状態の自分の感情移入ギャップです。
- 自然災害によって、物流が乱れ、トイレットペーパーが買えなくなるかもしれないという噂をSNSで知った。
- とても不安でいてもたってもいられなくなり、とにかくトイレットペーパーの買いだめをした。
- 冷静になって考えたら、こんなにトイレットペーパーを買っても仕方がなかった。
- 置き場所に困って生活が不便になってしまった。
- 自分の浅はかな行動に自己嫌悪。
「不安に突き動かされて行動してしまった。目の前の事でいっぱいいっぱいになってしまって、落ち着いて考えることができなかった。」
これがホット状態→コールド状態の感情移入ギャップです。
感情移入ギャップの対策・心構え

感情移入ギャップの一番の対策・心構えは、コールド状態とホット状態の自分を別人として考えると言うことです。
自分の行動は、コールド状態とホット状態では全く違うということをしっかり想定することが、何よりも大事です。
ポイントなのは、自分がコールド状態のときの考え方です。
落ち着いているときの自分こそ自分であると考えるのではなく、今の自分は、ただコールド状態なだけであると自覚しましょう。
そして、ホット状態になったら、今とは全く違う行動をとってしまう可能性があるということをしっかり考えましょう。
ここを甘くみてしまったら、感情移入ギャップは埋まりません。
落ち着いているときは、今、自分はコールド状態なのだと厳しく自覚できるか。
そして、どれほどホット状態の自分の行動を真摯に検討できるか。
「まぁ、大丈夫」ではなく。
「・・・かもしれない」という発想で考えましょう。
ホット状態の自覚は難しい

ホット状態のときは、なかなか自分がホット状態であることを自覚すること自体が難しいでしょう。
ホット状態のときは、失敗をしてしまうのはある程度仕方がありません。
大事なのは、ホット時の失敗をコールド時に振り返り、ホット時に突入してしまう時のサインを自分で見つけることです。
ホット状態になってしまっても、自分で気づけるようなわかりやすいサインを自分で見つけ、それが見えたときは、どんな状態でも自分の行動を一回止めて、落ち着こうとしてみることをやってみてください。
とにかくホット状態は別人になると思ってください。
だから、サインはわかりやすいものでなければ、なかなか機能しないでしょう。
常日頃から、自分の身体は、自分の理想通りに動かせているわけではないと知る
ホット状態の自分の行動によって失敗し、落ち込むこともあるかもしれません。
私は自分を失ってしまった。
あれは自分でなかった。
自分の理想通りに身体を動かすことができず、悔しい思いや、悲しい思いし、自分を責めてしまうこともあるでしょう。
ですが、果たして、コールド状態の自分なら自分の身体を理想通りに動かすことができているのでしょうか。
私たちは、いつだって身体を自分の意思だけで自由に動かすことができているわけではありません。
普段(コールドのとき)は身体を理想通りに動かせているという思考の方が間違っているのかもしれません。
本当は、日々、理想通りに動かせていない身体。
それを当たり前だと捉えてみましょう。
理想通りにできなくて当たり前。
少しでもうまくいったら、感謝する。
そんな心構えをもつことで、ホット状態の自分のコントロールできない行動に対して、目を背けず、真摯に向き合うことができるようになるでしょう。
感情移入ギャップとは意味と対策・心構え、おわりに

「感情移入ギャップとは、その意味と対策・心構えも」ということで書いてきました。
感情移入ギャップとは、平静時は、興奮時の自分の行動を、興奮時は平静時の自分の行動を予測するのが難しいという心のメカニズムのことでしたね。
大事なのは、平静時(コールドのとき)の自分こそ、自分。
興奮時(ホットのとき)の自分は、自分ではない。
このように考えるのではなく、どちらも確かに自分であると理解することです。
しっかり、興奮時の自分も、自分の一部として加えてあげて、面倒をみてあげてくださいね。
冥王、黒田明彦でした。
私のエネルギー、もらってね。